匂いの魔力 アニック・ル・ゲレ著 今泉敦子訳 工作舎
おすすめ度
★★★★☆
○ヨーロッパのにおいの歴史です。
ヨーロッパの歴史が好きなあなたにおすすめです。
いままでのパリやマルセイユのイメージが変わるかもしれません。
とくにペストとにおいのかかわりが詳細に述べられています。
著者のアニック・ル・ゲレはソルボンヌ大学で哲学と人類学を学び
香りのスペシャリストとして活躍中という。
歴史的な観点からにおいに関して、ものすごい情報量をバックに書き上げられている。
神話、宗教、医学、哲学、心理学、文学、科学とその範囲は多岐に及んでいる。
と、まあこんな感じの紹介があとがきにあります。
まさにそのとおりで、ヨーロッパの歴史とにおいが凝縮されている感じです。
とくにペストなどの病気とにおいとの関連がものすごい。
何がすごいかは、読んでみてください。
ヨーロッパと日本の文化の違いを強く感じました。
o(^-^)o カツのお気に入りポイント
私が面白いと思ったのは、匂いと差別の章「よそ者は臭い」のくだり。
-------ここから引用--------
ドイツ人の尿中毒素の係数は、フランス人のそれより少なくとも25パーセントは高い。
つまり、フランス人の尿45ccで体重1キログラムのモルモットが殺せるとすると、同じ結果を
得るのにドイツ人の尿ならたったの30ccで済むということである。・・・・・・
今日のドイツ人の内臓の独特な点は、腎臓の使いすぎのため体から全ての尿性物質を
排出することができずに、その一部が足底から放出されているという事実である。
よって、ドイツ人が足の裏で小便をするといわれるのには、物理的かつ事実に基づいた
根拠があるのである。
-------引用ここまで--------
ドクター・ベリヨンという人物が自らの科学知識をすべて投じ、ドイツ人の臭い足について
「理論的な」説明を試みている、、、、のだそうです。
説得力があるような、、、ないような。
ドイツ人の方が読んだら怒りますよね。
o(^-^)o カツのお気に入りポイント
著書の −おわりに− から
-------ここから引用--------
歴史上、いわゆる「 不快な臭い 」がこれほどまでに一貫して追撃されたことは
かつてないといってよい。抑圧は体臭に対して特に徹底的である。経済先進国で
とりわけ顕著なこの現象は、実は匂いに対する無関心ではなく、逆に匂いに対する
過剰反応のあらわれだといえる。
・・・中略・・・・
今日理想とされるのは、もしまったくの無臭が無理であるとすれば、少なくとも香りに
よって本来の匂いがカモフラージュされた肉体あるいは空間である。
現代人は匂いに過敏である反面、その嗅覚を鍛え、はぐくむ、豊かで変化にとんだ匂い
の環境を提供する文化を、もはやもたないという不自然な状態にあるのだ。
-------引用ここまで--------
これを読んで、少し考えさせられました。
このHP 「足の匂い 消臭体験」 はいったいどうなのでしょう?
足の消臭は ”嗅覚を鍛え、はぐくむ、豊かで変化にとんだ匂いの環境” に
逆行するのでしょうか?
HOMEへ戻る このページのTOPへ戻る
|
ご注意 |
このサイトの著作権は管理人カツが保持しています。 このホ-ムペ-ジからの無断転載・複製を禁じます。 |
|